タイトル
時間割コード:PB21017 日本語シラバス 英語
サステナビリティ経営特論[Sustainability Management Study]
 
担当教員
石田 満恵[ISHIDA MITSUE]
開講学部等 国際社会科学府 対象年次 1〜2 単位数 2 使用言語 日本語
開講時期 秋学期 開講曜限   クラス サステナビリティ経営特論
授業形態 対面 授業形態(詳細) 授業方法 講義
特記事項  
ナンバリングコード 実務経験のある教員による授業
授業の目的  
気候変動や人権問題を始め、ジェンダーギャップやフードロス問題、高齢化社会や地域活性化への対応等、社会問題は複雑かつ多様化しています。市場のグローバル化が進み、企業が社会に与える影響は、国境を越えてグローバルレベルまで拡大していることから、社会の中に存在する企業に期待される役割や責任も、変化の過程にあります。特に、2015年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を達成するにあたり、企業の役割に大きな期待が寄せられていることから、企業がサステナビリティ要素を経営戦略に盛り込み、社会課題を解決しながら、持続可能な企業体質を構築していくことの重要性が高まっています。
この講義の目的は、企業のサステナビリティ戦略の基本的な構造について、ケーススタディを通じて学ぶことです。企業のサステナビリティ戦略について、理論と実践の両面から学ぶことで、将来に渡りグローバル社会で活躍する上で必要とされる視点を獲得する事を目指します。
 
授業計画
(項目説明)授業全体のスケジュールを示しています。学修計画を立てる際の参考にしてください。
 
1:ガイダンス
授業概要の説明を行い、「企業がSDGs活動を展開するために必要な要素」をテーマに、簡単なグループワークを実施します。
2:グループワーク&プレゼンテーションⅠ
企業のサステナビリティ経営をテーマにグループワーク&プレゼンテーションを行います。
3:グループワーク&プレゼンテーションⅡ
企業のサステナビリティ経営をテーマにグループワーク&プレゼンテーションを行います。
4:企業経営とサステナビリティ(第Ⅰ部・第2章)
SDGsとは何か、サステナビリティとは何かを説明し、受講生との議論を通じて概略を明らかにします。また、SDGsとビジネスの関係性について、具体的な事例も取り上げて説明します。
5:企業経営とSDGs(第Ⅰ部・第6章)
1945年に国際連合憲章が起草・署名され国際連合が設立されて以降、2015年開催の国連サミットにおけるSDGs採択までの系譜について、概要を説明します。また、企業が環境・社会課題に取り組む理由について、具体的な事例も取り上げて説明します。
6: パーパス経営の展開(第Ⅱ部・第1章)
パーパス経営が注目される背景や、パーパス経営の定義について、説明します。また、パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー、戦略や戦術との違いについて整理し、説明を行います。さらに、企業のパーパス経営の取り組み例を取り上げ、説明します。
7: CSR・CSV(第Ⅰ部・第4章)
企業と社会の関係性、CSR(Corporate Social Responsibility)、CSV(Creating Shared Value)、CSRとCSVの違いについて説明します。また、CSRの具体的な事例を取り上げて説明します。
8: 持続可能性を高める「守りと攻めのCSR/CSV」(第Ⅱ部・第4章)
守りのCSRと攻めのCSRについて、Porter等(2006、2011)の文献も整理しながら、その内容や両者の違いを説明します。また、CSVの具体的な事例を取り上げて説明します。
9: 米国の経営倫理(第Ⅲ部・第1章)
米国におけるビジネス環境の変化、エンロン事件を始めとするサステナビリティ課題の変遷について、概要を説明します。また、フリードマンの株主価値最大化理論と、フリーマンのステークホルダー理論について、その内容と両者の相違を整理します。ステークホルダー資本主義で提唱されている内容についても、概要の整理を行います。
10: 英国の経営倫理(第Ⅲ部・第2章)
英国におけるビジネス環境の変化、及び、サステナビリティ課題の変遷について、概要を説明します。また、EUにおけるCSR/サステナビリティ政策の変遷についても整理し、説明します。
11:経営倫理とコーポレートガバナンス・コンプライアンス(第Ⅰ部・第7章、第9章)
コーポレートガバナンスの定義と歴史、日本におけるコーポレートガバナンスの変遷、そして、コンプライアンスの定義と重要性、法務・コンプライアンスの関係について、概要を説明します。また、従業員へコンプライアンスを遵守させる仕組みや、企業のコーポレートガバナンスの取り組み例を取り上げ、説明します。
12: 企業経営とダイバーシティ(第Ⅰ部・第8章)
ダイバーシティ・マネジメントの歴史と目的について、概要を説明します。また、企業のダイバーシティ・マネジメントの先進的な取り組み例を取り上げ、説明します。
13: NPOの役割と企業経営(第Ⅱ部・第11章)
NPOが登場するまでの経緯や役割について、概要を説明します。また、NPOと企業の関係性について説明し、具体的なNPOと企業の取り組み例を取り上げ、説明します。
14: 企業経営とカーボンニュートラル(第Ⅰ部・第3章)
地球温暖化問題を始めとする環境問題や、IPCCとCOPの役割、カーボンニュートラルの起源やTCFDについて整理し、概要を説明します。また、企業の環境経営の取り組み例を取り上げ、説明します。
15: ESG投資の現状と論点(第Ⅲ部・第7章)
ESG投資の現状や種類、PRI(責任投資原則)の概要について、説明します。また、ESG格付けや、非財務情報、ESG情報開示について整理し、説明します。
 
授業時間外の学修内容
(項目説明)授業全体を通して授業前に予習すべき内容、授業後に復習すべき内容を示しています。単位は、授業時間前後の予習復習を含めて認定されます。
 
事前に教科書の各章に関する実務の動向を調査し、授業当日に説明できるようにしておく。復習としては該当部分の教科書を読み直すこと。また、課題を与えて小レポートの提出を求めることがあり、そこでは実際のケースを紹介することが求められます。
授業で配布するプリント等がある場合にはそれらに目を通し、分からないところや疑問点を整理して、質問を用意してください。
 
履修目標
(項目説明)授業で扱う内容(授業のねらい)を示す目標です。より高度な内容は自主的な学修で身につけることを必要としています。
 
本講義の目標としては、企業のサステナビリティ戦略の基本的な構造について、ケーススタディを通じて学ぶことで、グローバル社会で活躍するにあたり必要とされる視点を獲得することを目指します。
1.SDGsやグローバルコンパクト、TCFD等、グローバル共通の枠組みについて理解し、他者に説明することができる。
2.環境問題や人権問題等、グローバル社会を取り巻く問題や、少子高齢化・過疎化問題等、日本における社会課題について理解し、他者に説明することができる。
3.企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility :CSR)の変遷や、共有価値の創造(Creating Shared Value:CSV)について理解し、他者に説明することができる。
4.企業のサステナビリティ戦略を分析して、その分析結果とそれに基づく考察を他者に説明することができる。
 
到達目標
(項目説明)授業を履修する人が最低限身につける内容を示す目標です。履修目標を達成するには、さらなる学修を必要としている段階です。
 
1.SDGsやグローバルコンパクト、TCFD等、グローバル共通の枠組みについて理解できる。
2.環境問題や人権問題等、グローバル社会を取り巻く問題や、少子高齢化・過疎化問題等、日本における社会課題について理解できる。
3.企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility :CSR)の変遷や、共有価値の創造(Creating Shared Value:CSV)について理解できる。
4.企業のサステナビリティ戦略について理解することができる。
 
成績評価の方法
(項目説明)成績評価の方法と評価の配分を示しています。
 
プレゼンテーション(30%)、議論へ積極的に参加する姿勢&小レポートの提出(30%)、および最終レポート(40%)として、総合的に評価します。
 
成績評価の基準 -ルーブリック-
(項目説明)授業別ルーブリックでは評価の項目と、成績評価の基準との関係性を確認できます。(表示されない場合もあります。)
 
【成績評価の基準表】
秀(S)優(A)良(B)可(C)不可(F)
履修目標を越えたレベルを達成している履修目標を達成している履修目標と到達目標の間にあるレベルを達成している到達目標を達成している到達目標を達成できていない
履修目標:授業で扱う内容(授業のねらい)を示す目標
到達目標:授業において最低限学生が身につける内容を示す目標
【授業別ルーブリック】
評価項目評価基準
期待している以上である十分に満足できる(履修目標)やや努力を要する努力を要する(到達目標)相当の努力を要する
知識・理解度授業内容を超えた自主的な学修が認められる。履修目標に達していることが認められる。到達目標は概ね達成しているが、授業内容への理解に一部不足がある。到達目標に達していることが認められる。到達目標に達していない。
論理性主張したい事柄に対する根拠をデータや先行研究で明記し、理由に極めて十分な説得力がある。主張したい事柄に対する根拠をデータや先行研究で明記し、理由に説得力がある。主張したい事柄に対する根拠をデータや先行研究で明記しているが、一部説得力に欠ける点がある。主張したい事柄に対する根拠をデータや先行研究で明記しているが、論理に飛躍があるため十分な説得力をもたない。理由を述べない形で主張が展開されている。
プレゼンテーションスキル主張や論点を明確にテーマに沿う形で提示しており、伝えたい内容の要点を過不足なくまとめている。主張や論点を 明確にテーマに沿う形で十分に提示しており、伝えたい内容の要点をまとめている。 主張や論点を明確にテーマに沿う形で提示しているが、伝えたい内容に一部不鮮明な点がある。主張や論点とテーマとの関連が認められるが、明確でない形で提示している。テーマに沿わない形で主張や論点を提示している。プレゼンテーションの内容が 伝わりづらい。
 
授業の方法
(項目説明)教員が授業をどのように進めるのか、課題提出などの情報もあわせて示しています。
 
教科書の担当箇所を割り当てて輪読する形態をとる。発表担当の受講生は、当該担当箇所の解説のみならず最新状況を取り入れるとともに、必ず具体的な事例を取り上げ、当該事例の紹介・分析を行い、それに基づいて議論する形で授業を進める。発表担当者以外の受講生は、教科書を読むことはもちろん、当該テーマについての情報を集めた上で授業に臨むこと。また、授業後に、小レポートの提出を求めることがある。
 
教科書  
教科書1 ISBN 9784830952203
書名 経営倫理入門 : サステナビリティ経営をめざして
著者名 日本経営倫理学会,日本経営倫理学会 編 出版社 文眞堂 出版年 2023.3
 
参考書  
参考書1 ISBN 9784502225413
書名 CSRの基礎 : 企業と社会の新しいあり方
著者名 国部, 克彦, 1962-,神戸CSR研究会,國部克彦 編著,神戸CSR研究会 編 出版社 中央経済社 出版年 2017.5
参考書2 ISBN 9784532322366
書名 SDGsが問いかける経営の未来
著者名 デロイトトウシュトーマツ,モニターデロイト 編 出版社 日本経済新聞出版社 出版年 2018.12
参考書3 ISBN 9784526079221
書名 SDGsビジネス戦略 : 企業と社会が共発展を遂げるための指南書
著者名 Pedersen, Peter David, 1967-,竹林, 征雄,ピーター D.ピーダーセン, 竹林征雄 編著 出版社 日刊工業新聞社 出版年 2019.2
参考書4 ISBN 9784502331015
書名 企業と社会 : サステナビリティ時代の経営学
著者名 谷本, 寛治, 1955-,谷本寛治 著 出版社 中央経済社 出版年 2020.3
参考書5 ISBN 9784561257493
書名 企業倫理入門 : 理論とケースで学ぶ
著者名 高浦, 康有,藤野, 真也, 1982-,高浦康有, 藤野真也 編著 出版社 白桃書房 出版年 2022.3
参考書6 ISBN 9784623052486
書名 企業と社会 : 企業戦略・公共政策・倫理
著者名 Post, James E,Lawrence, Anne T,Weber, James,松野, 弘, 1947-,小阪, 隆秀, 1948-,谷本, 寛治, 1955-,J.E. ポスト, A.T. ローレンス, J. ウェーバー 著,松野弘, 小阪隆秀 出版社 ミネルヴァ書房 出版年 2012.3
参考書7 ISBN 9784623077793
書名 持続可能な開発目標とは何か : 2030年へ向けた変革のアジェンダ
著者名 蟹江, 憲史, 1969-,蟹江憲史 編著 出版社 ミネルヴァ書房 出版年 2017.3
参考書8 ISBN 9784152097446
書名 3つのゼロの世界 : 貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済
著者名 Yunus, Muhammad, 1940-,Weber, Karl, 1953-,山田, 文,ムハマド・ユヌス 著,カール・ウェーバー [著],山田文 訳 出版社 早川書房 出版年 2018.2
参考書9 ISBN 9784532357443
書名 ESG投資 : 新しい資本主義のかたち
著者名 水口, 剛, 1962-,水口剛 著 出版社 日本経済新聞出版社 出版年 2017.9
参考書10 ISBN 9784782534380
書名 ソーシャルパワーの時代 : 「つながりのチカラ」が革新する企業と地域の価値共創〈CSV〉戦略
著者名 玉村, 雅敏,玉村雅敏 編著 出版社 産学社 出版年 2016.7
 
履修条件および関連科目
(項目説明)この授業を履修するにあたってあらかじめ履修が必要な授業,並行して履修することによって学修効果を高める授業などを示しています。
 
経営学の基本的な知識を持っていること。
 
キーワード  
サステナビリティ(Sustainability), CSR (Corporate Social Responsibility), CSV (Creating Shared Value), ステークホルダー(Stakeholder),ソーシャルビジネス(Social Business), SDGs (Sustainability Development Goals), ESG (Environment, Social, Governance), 企業と社会(Corporate and society)。
 
教員からの一言  
不明な点があれば、下記内容に従い、問い合わせを行ってください。
 
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