タイトル
時間割コード:PB50010 日本語シラバス 英語
グローバル・マネジメント[Global Management]
 
担当教員
横澤 公道[YOKOZAWA KODO]
開講学部等 国際社会科学府 対象年次   単位数 2 使用言語 日本語
開講時期 春学期 開講曜限   クラス グローバル・マネジメント
授業形態 遠隔 授業形態(詳細) 同時双方向 授業方法 講義
特記事項  
ナンバリングコード 実務経験のある教員による授業
授業の目的  
本講座では、グローバルマネジメントに関する重要なテーマを理論と事例の両面から理解するとともに、実際の経営現象を分析するためのケース・スタディ研究の方法論を学ぶことを目的とする。講義は前半と後半で異なるテーマを扱うが、いずれもグローバルマネジメントの実践と分析を深く理解するために相互に関連している。

前半では、日本発の生産システム、とりわけ改善(カイゼン)活動の海外移転というテーマを取り上げる。同じ経営手法であっても、国や地域によって成功したり失敗したりする理由は何かという問いを出発点に、国家文化、制度、組織慣行など、グローバルマネジメントに影響を与えるさまざまな要因について理論と事例を通じて学習する。講義では多くのケーススタディや企業事例を取り上げ、それらを分析しながら、グローバルな環境における経営現象をどのように理解するのかを考えていく。

その過程で、こうした複雑な経営現象をどのように分析し、知識として体系化していくのかという方法論の重要性が明らかになる。そこで後半では、グローバルマネジメントの事例分析に用いられるケース・スタディ研究戦略を中心に、その理論的背景と具体的な分析手法について学んでいく。特に、Glaser and Straussによる帰納的定性研究法であるグラウンデッド・セオリー・アプローチ、Yinによる実証的ケーススタディ、Eisenhardtによるケーススタディからの理論構築アプローチを比較しながら理解を深める。

さらに、ケーススタディを用いたトップジャーナルの論文を読み解き、研究デザインや理論構築のプロセスを分析することで、実際にどのように事例から知識や理論を導き出すのかを考察する。講義で扱う多くの事例や具体例は、グローバルマネジメント分野の実際の企業事例をもとに構成される。

グローバルマネジメントの理論だけでなく、事例をどのように分析し知識として体系化するのかという方法論的視点を取り入れた本講座は、もともと学生からの要望をきっかけに開講されたものである。実務的な事例と研究方法論を結びつけて学ぶ点が特徴であり、これまでの開講においても受講生から高い評価を得ている。
 
授業計画
(項目説明)授業全体のスケジュールを示しています。学修計画を立てる際の参考にしてください。
 
イントロダクション:講義の目的と構成
1.面白い研究とは何か:理論構築の視点

2.経営システムの国際移転①:日本型生産システムとカイゼン

3.経営システムの国際移転②:国家文化・制度と経営システム

4.経営システムの国際移転③:国際移転の成功・失敗事例の分析


5.データ収集前の文献調査と先行理論の必要性
 (理論的感受性、ケーススタディプロトコル、文献レビューの進め方)

6.ケース選択とデータ収集・分析
 (統計的サンプリングと理論的サンプリング、継続的比較法、追試のロジック)

7.実地調査を終了するタイミング
 (理論的飽和の概念とケース数の考え方)

8.研究の評価基準
 (理論構築型ケーススタディの評価、妥当性・信頼性の再検討)

9.研究パラダイムと研究志向
 (実証主義、ポスト実証主義、批判的実在論、構成主義)

10.優良ケース研究論文の分析
 (Eisenhardt 1989、Sutton 1987など)

11.ケーススタディ論文(定性研究論文)執筆のヒント
 
授業時間外の学修内容
(項目説明)授業全体を通して授業前に予習すべき内容、授業後に復習すべき内容を示しています。単位は、授業時間前後の予習復習を含めて認定されます。
 
各回の講義内容について理解を深めるため、履修期間終了後に講義資料(パワーポイント)をデジタル形式で配布する予定である。受講者はこれらの資料を用いて復習を行い、講義内容の理解を深めることが求められる。

また、授業内容に関連する参考資料として、横浜経営研究に現在執筆中のシリーズを提示する予定である。これらの資料を予習および復習に活用し、講義で扱う理論や事例について理解を深めることが期待される。
 
履修目標
(項目説明)授業で扱う内容(授業のねらい)を示す目標です。より高度な内容は自主的な学修で身につけることを必要としています。
 
グローバルマネジメントに関する理解

A) 経営システムの国際移転に影響する要因を理解する。
B) 国や地域による経営システムの移転度の違いや、その難しさを理解する。
C) 日本発の生産システム、とりわけ改善(カイゼン)活動について理解する。

研究方法論に関する理解

D) 演繹研究と帰納研究の違いを理解する。
E) 探索研究、記述研究、説明研究の違いを理解する。
F) ケーススタディ研究戦略の三つの主要アプローチ(グラウンデッド・セオリー・アプローチ、Yinの演繹的ケーススタディ、Eisenhardtの帰納的ケーススタディ)を理解する。
G) 統計的サンプリングと理論的サンプリングの違いを理解する。
H) 定性データの収集およびコーディングについて理解する。
I) ケース研究においてどの程度のケース数が必要となるのかについて理解する。
J) 研究の質をどのように判断するのかについて理解する。
K) 研究志向および研究パラダイムについて理解する。
L) 学術論文の構造について理解し、帰納研究と演繹研究でその構造が異なることを理解する。
M) 中範囲理論や「面白い理論」の考え方について理解する。
 
到達目標
(項目説明)授業を履修する人が最低限身につける内容を示す目標です。履修目標を達成するには、さらなる学修を必要としている段階です。
 
上記の履修目標(A~M)に関して、最低限の知識と理解を身につけていることを本講義の到達目標とする。
 
成績評価の方法
(項目説明)成績評価の方法と評価の配分を示しています。
 
1)授業への参加およびディスカッションへの貢献(30%):授業内での議論への参加状況やコメントの内容を評価する。

2)個人課題(30%):講義内容や指定文献を踏まえた個人レポートまたは発表課題の内容を評価する。

3)グループ課題(40%):グループでのケース分析および発表内容、分析の論理性、議論への貢献を総合的に評価する。
 
成績評価の基準 -ルーブリック-
(項目説明)授業別ルーブリックでは評価の項目と、成績評価の基準との関係性を確認できます。(表示されない場合もあります。)
 
【成績評価の基準表】
秀(S)優(A)良(B)可(C)不可(F)
履修目標を越えたレベルを達成している履修目標を達成している履修目標と到達目標の間にあるレベルを達成している到達目標を達成している到達目標を達成できていない
履修目標:授業で扱う内容(授業のねらい)を示す目標
到達目標:授業において最低限学生が身につける内容を示す目標
【授業別ルーブリック】
評価項目評価基準
期待している以上である十分に満足できる(履修目標)やや努力を要する努力を要する(到達目標)相当の努力を要する
授業への参加・ディスカッション授業内容を踏まえた発展的な質問やコメントを積極的に行い、議論を深めることができる。授業内容を理解し、適切な質問やコメントを行うことができる。コメントや質問はあるが内容に具体性や深さが不足している。最低限の参加はあるが議論への貢献が限定的である。授業への参加や発言がほとんど見られない。
個人課題講義内容や文献を発展的に応用し、独自の視点から論理的に分析・考察できている。講義内容を十分に理解し、それを基に論理的に課題を作成している。内容は理解しているが、議論の深さや論理構成に不足がある。基本的な内容は含まれているが理解が不十分である。課題の内容や構成が不十分である。
グループ課題ケース分析が非常に深く、理論と事例を結びつけた説得力のある議論ができている。ケースを適切に分析し、論理的な発表と議論ができている。基本的な分析はできているが、論理や根拠が十分ではない。最低限の課題要件は満たしているが分析が浅い。分析内容や発表準備が不十分である。
 
授業の方法
(項目説明)教員が授業をどのように進めるのか、課題提出などの情報もあわせて示しています。
 
本講義は主にパワーポイント資料に沿って、Zoomを用いたオンライン形式で実施する。講義では、Zoomのブレイクアウトセッションを活用したグループディスカッションや、投票機能を用いた意見共有などを取り入れ、学生からの質問に答えながら進める双方向型の授業を行う。

また、実際の定性データを用いたコーディング演習や、そこから命題を構築するワークなど、実践的な分析能力を身につけるための課題も取り入れる。さらに、必要に応じて研究の進め方(研究テーマの見つけ方、文献調査の進め方、リサーチクエスチョンの設定方法、仮説の構築など)についてもディスカッションを行う。

受講者が内容を十分に理解できるよう、議論や演習を交えながら丁寧に講義を進めていく予定である。
 
教科書補足  
教科書は指定しない。講義内容に関連する資料や参考文献については、必要に応じて随時配布する予定である。
 
キーワード  
カイゼン (Kaizen), 不安 (Anxiety), 国家文化 (National Culture), ケース・スタディ (Case Study), 定性研究法 (Qualitative Research)
 
備考  
本講義では、グローバルマネジメントに関する主要なテーマを事例と理論の両面から検討するとともに、事例をどのように分析し知識として整理していくのかという方法論についても扱う。講義では、企業事例や研究論文を取り上げながら、グローバルな経営現象をどのように理解し分析するのかを考えていく。 同様の内容の講義は、筑波大学大学院の社会人コースにおいて非常勤講師として過去5年間、また早稲田大学ビジネススクールにおいて特別講義として過去2年間実施してきた。本学では、日本語で同様の内容を扱う講義は本講義のみとなる。 ケース・スタディを用いた研究や論文執筆に関心のある学生にとって参考となる内容を含んでいる。講義ではディスカッションや事例分析も行うため、受講者には講義内容を踏まえながら主体的に議論に参加することを期待する。
 
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