|
|
|
|
|
|
本講義の目的は経済活動の国際化に伴い注目を集めている国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards,IFRS)について,財務諸表分析のフレームワークを用いながら学び,国内基準との差異を踏まえた上で,IFRSを採用する国内企業・海外企業の財務諸表がどのように外部から見えるのかを理解することです。会計は企業活動の成果を映し出す「鏡」に例えられることが多いですが,鏡の形状が異なれば,そこに映し出される姿もまた異なります。この鏡の違いを理解し,異なる会計基準に従う企業の姿を正しく比較することが重要となります。国際会計を学ぶ目的は履修者の間でもばらつきがあると思いますが,本講義では一貫して,「その会計処理がどのように企業の見え方を変えるのか」に注目します。講義では関連する企業の財務データ・分析結果を数多く取り上げ,その議論を通じて,財務情報利用者視点(特に投資家視点)での国際会計の理解を目指します。この目的に照らし,本講義で扱うトピックは単なる会計基準の差異に留まらず,その影響を考えるための情報の経済学,コーポレート・ファイナンス,企業価値評価,統計など多くの分野にまたがる内容となっています。管理会計や原価会計に比べ,財務会計は(経理・財務部経験者を除いて)MBA学生にとっては馴染みの薄いものかもしれません。ぜひ所属する会社・組織のIR部門に配属された気持ちになって,自社に対する投資家の目線を考え,国際会計の影響を一緒に考えましょう。
|
|
|
各回の内容はあくまで進行の目安であり,進捗に応じて変わる可能性があります。また括弧内はその回で取り上げる内容のキーワードとなっています。 1.企業価値評価の基礎:投資家の視点(株価の考え方,情報の非対称性,概念フレームワーク,国際会計) 2.収益性の分析①(ROE,概念フレームワーク,包括利益,資産負債アプローチ) 3.収益性の分析②(ROS,異常損益,減損損失,収益認識,R&D) 4.収益性の分析③(ROA,有形固定資産,投資不動産,営業損益と金融損益) 5.効率性の分析(回転率,リース) 6.安全性の分析(短期と長期の安全性比率,安全性と企業価値,引当金,退職給付) 7.リスクの分析(標準偏差,公正価値,生物資産,金融商品) 8.ペイアウトの分析(配当性向,DOE,連単分離) 9.企業価値評価①(企業価値,資本コスト,CAPM,IFRS適用効果) 10.企業価値評価②(DCF法,FCF,減価償却,営業利益,無形資産,のれん,連結会計,原則主義) 11.IFRS財務諸表分析の実践(IFRS財務諸表の組み換え,修正) 12.ケーススタディ
|
|
|
各授業で使用するレジュメは当日に配布いたします。またほぼ毎回講義の冒頭はグループでの報告になるので,グループ課題が提示されます。
|
|
|
この講義のねらいは以下に示す履修目標を達成することです。 ・国内会計基準とIFRSの違いや国際的な会計基準の収斂化が,企業やそのステークホルダーに対してどのような経済的影響を及ぼしうるのかについて自分なりに考えをまとめ,提示することができる。
|
|
|
この講義の合格ラインは以下に示す到達目標を達成することである。 ・IFRSについて理解し,国内会計基準との違いを説明できる。 ・IFRS導入企業と国内基準採用企業の財務諸表を正しく比較できる。 ・講義のディスカッションに積極的に参加できる。
|
|
|
グループ課題(配分:50%),ディスカッションの質(配分:50%)に基づいて,到達目標を達成したと判断できれば合格ラインに達したとみなし「可」以上の評価,履修目標を達成したと判断できれば授業のねらいに達したとみなし「優」以上の評価となります。
|
|
|
【成績評価の基準表】
秀(S) | 優(A) | 良(B) | 可(C) | 不可(F) |
履修目標を越えたレベルを達成している | 履修目標を達成している | 履修目標と到達目標の間にあるレベルを達成している | 到達目標を達成している | 到達目標を達成できていない |
|
履修目標:授業で扱う内容(授業のねらい)を示す目標
到達目標:授業において最低限学生が身につける内容を示す目標
|
|
【授業別ルーブリック】
評価項目 | 評価基準 |
期待している以上である | 十分に満足できる(履修目標) | やや努力を要する | 努力を要する(到達目標) | 相当の努力を要する |
理解度 | 授業内容を越えた自主的な学修が認められる。 | 授業内容をほぼ100%理解している。 | 到達目標は理解しているが、授業内容に不足がある。 | 到達目標に達していることが認められる。 | 到達目標に達していない。 |
課題解法能力 | 解法が分からない他人にアドバイスができる。 | 何も参照せずに独自の能力で課題を解くことができる。 | 参考書などを参考にすれば、独自で課題を解くことができる。 | 他人のアドバイスがあれば課題を解くことができる。 | 他人のアドバイスがあっても自発的に課題を解くことができない。 |
論理構成 | 根拠に基づき、論理的な説明ができており、説得力のある結論を導いている。 | 根拠に基づき、論理的な説明がほぼできている。 | 根拠を示し説明できているが、一部論理性に欠ける。 | 根拠を示してはいるが、その解釈が曖昧もしくは不適切な部分があり、論理的な説明が充分にできていない。 | 私見に基づいた内容で、まったく論理的な説明ができていない。 |
|
|
|
レジュメを用いて講義を進めます。積極的に発言を求める双方向の授業を実践したいと考えています。
|
|
|
|
|
|
|
9784502438912
|
|
エッセンシャルIFRS
|
|
秋葉, 賢一, 1963-,秋葉賢一 著
|
|
中央経済社
|
|
2022.9
|
|
|
|
|
9784296120048
|
|
新・現代会計入門
|
|
伊藤, 邦雄, 1951-,伊藤邦雄 著
|
|
日経BP日本経済新聞出版
|
|
2024.3
|
|
|
|
|
9784296117802
|
|
企業価値経営
|
|
伊藤, 邦雄, 1951-,伊藤邦雄 著
|
|
日経BP日本経済新聞出版
|
|
2023.4
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
秋葉[2022]はIFRSの全体像を把握する上で有益であり,本講義の内容の多くとリンクしています。ただし,内容の理解には相当程度の財務会計の知識が必要となります。伊藤[2023, 2024]は財務会計・財務諸表分析の基本論点を押さえる上で有益と考えられます。
|
|
|
|
本講義は財務会計分野の発展科目であり,財務会計について基礎的な知識を有していることが望ましいです。ただし,これは会計関連科目を履修していない学生の受講を妨げるものではありません。 関連科目:アカウンティング,財務会計,企業財務
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|