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学術的論文を執筆するにあたり、方法論を深く理解することは極めて重要です。しかしながら統計分析などの定量研究法に関する講義は多くある一方で、ケース・スタディ(事例研究法)などの定性研究法に関する講義は極めて少ないのが現状です。本講義では、講座名にあるとおりグローバルマネジメントの事例や論文を多く使いながらも、多くの時間は、ケース・スタディ研究戦略を中心において講義を進めていきます。
ケース・スタディ研究戦略について、Glaser and Straussの帰納的定性研究法のグラウンデッドセオリーアプローチ、Yinのより実証的なアプローチ、そしてEisenhardtのケーススタディから理論を構築するアプローチを比較しながら理解を深めていきます。また、実際にケーススタディアプローチを使ったトップジャーナルの論文を読み、分析していくことで、実際にどうやって論文を執筆していけばいいのか考えていきます。
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第1回 面白い理論・研究とは
第2回 データ収集前の文献調査と先行理論の必要性(理論的感受性、ケーススタディプロトコルの作成例、どのような文献をどれくらい読むのがいいのか)
第3回 ケース選択(統計的サンプリングVS理論的サンプリング)
第4回 データ収集と分析(継続的比較法、追試のロジック)
第5回 定性データを使ったコーディング実践
第6回 実地調査を終了させる時期(理論的飽和の概念とケース数の根拠)
第7回 研究の判断基準(理論構築型ケーススタディの結果に対する評価基準、既存の妥当性、信頼性は理論構築に当てはまるのか)
第8回 研究パラダイム(実証主義、ポスト実証主義、批判現実主義、構成主義)と研究志向
第9回 アイセンハートのアプローチ
第10回 どのケーススタディアプローチを選べばよいのか
第11回 ケース論文執筆のヒント
第12回 優良ケース論文を実際に読み分析を行う
第13回から16回 優良ケース論文を実際に読み分析を行う (グループによるプレゼンテーション)
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以下の論文を授業が始まる前に読んでおくこと。 横澤公道, 辺成祐, and 向井悠一朗 (2013), "ケース・スタディ方法論:どのアプローチを選ぶか:経営学輪講Glaser and Strauss (1967), Yin (1984), Eisenhardt (1989a) の比較分析", 赤門マネジメント・レビュー, Vol. 12 No. 1, pp. 41-68.
以下の論文は予習、復習に使ってください。 横澤公道 (2019), "経営レクチャーシリーズ第一回 研究戦略としてのケース・スタディ:ケース・スタディとは何か", 横浜経営研究, Vol. 40 No. 1, pp. 83-97. 横澤公道 (2019), "経営レクチャーシリーズ第二回 研究戦略としてのケース・スタディ:実地調査前に理論は必要か", 横浜経営研究, Vol. 40 No. 2, pp. 94-109. 横澤公道 (2020), "経営レクチャーシリーズ第三回 研究戦略としてのケース・スタディ:ケース・スタディプロトコルとはどのようなものか", 横浜経営研究, Vol. 40 No. 3/4, pp. 357-377. 横澤公道 (2020), "経営レクチャーシリーズ第四回 研究戦略としてのケース・スタディ : ケースをどのように選ぶか Yin(1984)の場合 ", 横浜経営研究, Vol. 41 No. 1, pp. 81-93.
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A)演繹研究と帰納研究の違いを深く理解する B)探索調査、記述調査、説明調査の違いを深く理解する C)ケーススタディ研究戦略の三つの主なアプローチ(グラウンデッドセオリーアプローチ、Yinの演繹的ケーススタディ、Eisenhardtの帰納的ケーススタディ)を深く理解する。 D)統計的サンプリングと理論的サンプリングの違いを深く理解する。 E)定性データ収集、コーディングについて深く理解する。 F)ケースをどれだけ行えばいいのか深く理解する G)研究の質をどう判断する場いいのか深く理解している H)研究志向、研究パラダイムについて理解している I)学術論文の構造について深く理解し、帰納研究と演繹研究ではその構造が異なることを理解する J)中範囲の理論や面白い理論について深く理解する。
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上記の履修目的(A-J)に関して最低限の知識があることが到達目標である。
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1)出席状況(30%)
2)グループワーク発表(30%)
3)最終課題によって評価を行う(40%)
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【成績評価の基準表】
秀(S) | 優(A) | 良(B) | 可(C) | 不可(F) |
履修目標を越えたレベルを達成している | 履修目標を達成している | 履修目標と到達目標の間にあるレベルを達成している | 到達目標を達成している | 到達目標を達成できていない |
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履修目標:授業で扱う内容(授業のねらい)を示す目標
到達目標:授業において最低限学生が身につける内容を示す目標
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主にパワーポイント資料に沿って、講義を行っていきますが、その中で多くのディスカッションや、学生からの質問に答えながらという双方向のスタイルで進めます。また、実際の定性データを使ったコーディングから命題の構築を行うワークを行ったりと、実践形式の使える能力を構築するための内容も多く盛り込んでいきます。さらに、必要に応じて、研究の進め方(研究テーマの見つけ方、文献調査の行い方、リサーチクエスチョンの設定の仕方、仮説の立て方など)に関してもディスカッションを行います。理解できるまで ゆっくりと進めていく予定です。 後半にかけて、実際に経営学の優良国際ジャーナルに載ったケーススタディ論文を多く読み、その構造や方法論の部分などを分析し、それを個人、あるいは数人のグループで発表し議論を行っていきます。その分析するための質問は以下の通りになります。
論文を読む際に以下の質問に答えてください 論文を読んだことがない人でもわかるように要約せよ。次の内容を必ず含むこと 研究の1)動機、2)目的、3)リサーチクエスチョンはなにか。 論文はどのような定説、常識を打ち破いたのか、またはどのような理論の穴を埋めたのか述べよ。 論文の構造は、一般的なものと比較してどこが違うかまたは同じか。 各節にはどのような情報が記載されていたか簡単に説明せよ。 方法(Method, Methodology)の部分にはどういった情報が記載されていたか。 ケーススタディ戦略を選択した理由、アプローチ、手順、ケースデザイン(単一VS複数、埋め込みVS全体)、ケースの選択、データ源、データ分析法など 定性データは、どのように提示されていたか説明せよ。 図表の使い方、生データの処理、データ源の表示の仕方、データの強度など 筆者の研究パラダイムは何か、その根拠を述べよ。 論文を読んだ感想と自分の研究への示唆 (全員)。
最終課題は、それぞれが、自分の研究に関連する国際ジャーナルに載った論文を読み、分析を行いレポートにしてそれを提出してもらいます。
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同講義を筑波大学大学院社会人コースで非常勤講師として過去6年、早稲田大学ビジネススクールで特別講義として過去2年同様の講義を行っています。また今年度からは明治大学大学院でも講義を開始します。本学では、日本語で提供されているのは本講義のみになります。 ケース・スタディを使って論文の執筆を考えている方は必須の講義です。教科書に乗っ取った授業と異なり、独自でありながらわかりやすい授業の構成になっております。
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