タイトル
時間割コード:PB22007 日本語シラバス 英語
国際会計特論[International Accounting]
 
担当教員
髙須 悠介[TAKASU YUSUKE]
開講学部等 国際社会科学府 対象年次 1〜2 単位数 2 使用言語 日本語
開講時期 春学期 開講曜限   クラス 国際会計特論
授業形態 対面 授業形態(詳細) 授業方法 講義
特記事項  
ナンバリングコード 実務経験のある教員による授業
授業の目的  
本講義の目的は2つあり,1つは国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards,IFRS)を題材とした学術研究を取り上げ,IFRSの特徴に関して学修することである。もう1つの目的は財務会計データを用いた仮説検証型の実証研究に慣れ親しむことである。本講義の特徴は各回の内容がアカデミックの(多少古い論文も多いが)最前線とリンクしていることである。特に本講義で取り上げる論文はいずれも実証研究に分類され,経済理論等を背景として構築された仮説を大規模なデータに基づいて検証する研究である。そのため,情報の経済学やファイナンス理論などの周辺領域や統計的な仮説検定に関する方法論についても紹介する。加えて,3回の実習と期末レポートにおいてデータ分析を予定している。実習では実際のデータセットを使って,講義で紹介した研究内容に関連した分析を履修者自身で行ってもらい、期末レポートでは与えられたデータセットを用いて提示課題の仮説検証を行っていただく予定である。本講義を通じて,財務会計の観点から企業を定量的に分析するための基礎(理論と方法論の理解,データ分析能力の獲得)の獲得が期待される。
 
授業計画
(項目説明)授業全体のスケジュールを示しています。学修計画を立てる際の参考にしてください。
 
各回の内容はあくまで進行の目安であり,進捗に応じて変わることがある。
1.ガイダンス:講義の概要と目標,評価方法等の説明
2.エクセル講習
3.実証分析概論
    実証研究とは
    実証研究のステップ
    リサーチデザイン
4.IFRS総論①
    IFRSの目的
    ホームバイアス(Covrig et al. 2007)
5.IFRS総論②
    利益発表の情報内容(Landsman et al. 2012)
6.IFRS総論③
    情報の経済学,情報の非対称性
ディスクロージャーの質(Li et al. 2020)
7.実習①
    外国人投資家とIFRS適用企業
8.のれんの会計
    減損と償却
    のれんの事後測定と経済実態(Chalmers et al. 2010)
9.研究開発費の会計
    IFRSにおける研究開発費の会計処理
    R&D投資の資産性(譚 2011)
10.包括利益
    概念フレームワーク
    包括利益とリスク(Khan and Bradbury 2014)
11.実習②
    純利益と包括利益のリスク尺度と株式市場リスク
12.損益計算書の表示
    段階別利益計算と異常損益
    経常利益と特別損益の利益予測能力(井上 2016)
13.投資不動産の会計
    原価モデルと公正価値モデル
    投資不動産の公正価値:開示vs認識(Israeli 2015)
14.実習③
    段階別利益と価値関連性
15.期末課題提示・質疑応答
16.期末レポート
 
授業時間外の学修内容
(項目説明)授業全体を通して授業前に予習すべき内容、授業後に復習すべき内容を示しています。単位は、授業時間前後の予習復習を含めて認定されます。
 
各授業で使用するレジュメおよび論文は事前に授業支援システムを通じて配布しますので,一通り目を通し,予習しておくことで各回の講義にスムーズに参加し,議論に参加することができるでしょう。また各回の復習として小課題(提出不要)を提示するので毎回取り組むことで実証分析の方法論についても理解が深まることが期待されます。
 
履修目標
(項目説明)授業で扱う内容(授業のねらい)を示す目標です。より高度な内容は自主的な学修で身につけることを必要としています。
 
この講義のねらいは以下に示す履修目標を達成することである。
・IFRSの特徴を理解した上で,IFRSの経済効果に関して経済理論に根ざした仮説を提示し,仮説検証のためのリサーチデザインを提示し、分析することができる。
 
到達目標
(項目説明)授業を履修する人が最低限身につける内容を示す目標です。履修目標を達成するには、さらなる学修を必要としている段階です。
 
この講義の合格ラインは以下に示す到達目標を達成することである。
・IFRSについて理解し,その特徴を説明できる。[a]
・財務会計に関する実証研究の背景となる経済理論・検証手法を説明できる。[b]
・授業に積極的に参加し,コミュニケーションをとることができる。[c]
 
成績評価の方法
(項目説明)成績評価の方法と評価の配分を示しています。
 
実習課題(配分:60%)と期末レポート(配分:40%)に基づいて,到達目標を達成したと判断できれば合格ラインに達したとみなし「可」以上の評価,履修目標を達成したと判断できれば授業のねらいに達したとみなし「優」以上の評価とする。
 
成績評価の基準 -ルーブリック-
(項目説明)授業別ルーブリックでは評価の項目と、成績評価の基準との関係性を確認できます。(表示されない場合もあります。)
 
【成績評価の基準表】
秀(S)優(A)良(B)可(C)不可(F)
履修目標を越えたレベルを達成している履修目標を達成している履修目標と到達目標の間にあるレベルを達成している到達目標を達成している到達目標を達成できていない
履修目標:授業で扱う内容(授業のねらい)を示す目標
到達目標:授業において最低限学生が身につける内容を示す目標
【授業別ルーブリック】
評価項目評価基準
期待している以上である十分に満足できる(履修目標)やや努力を要する努力を要する(到達目標)相当の努力を要する
理解度授業内容を越えた自主的な学修が認められる。授業内容をほぼ100%理解している。到達目標は理解しているが、授業内容に不足がある。到達目標に達していることが認められる。到達目標に達していない。
課題解法能力解法が分からない他人にアドバイスができる。何も参照せずに独自の能力で課題を解くことができる。参考書などを参考にすれば、独自で課題を解くことができる。他人のアドバイスがあれば課題を解くことができる。他人のアドバイスがあっても自発的に課題を解くことができない。
調査能力(予習)自ら進んで予習範囲を越えて調べている。予習範囲を十分に理解し、他人に説明できる。指示した予習範囲の理解にあいまいな点がある。指示された範囲は予習するが、理解が不十分である。指示された範囲は予習が不十分である。
課題を解く力解法が分からない他人にアドバイスができる。何も参照せずに独自の能力で課題を解くことができる。参考書などを参考にすれば、独自で課題を解くことができる。他人のアドバイスがあれば課題を解くことができる。他人のアドバイスがあっても課題を自発的に解くことができない。
 
授業の方法
(項目説明)教員が授業をどのように進めるのか、課題提出などの情報もあわせて示しています。
 
レジュメを用いて講義を進める。双方向の授業を実践するために積極的な発言を通じた授業への貢献を期待する。講義期間中には3度の実習があり,実習成果を提出していただく。
 
教科書  
教科書1 ISBN
書名 -
著者名 出版社 出版年
 
教科書補足  
レジュメを用いて講義を行う。
 
参考書  
参考書1 ISBN 9784502438912
書名 エッセンシャルIFRS
著者名 秋葉 賢一 出版社 中央経済社 出版年 2022.9
参考書2 ISBN 9784532135256
書名 新・現代会計入門
著者名 伊藤 邦雄 出版社 日経BP日本経済新聞出版本部 出版年 2022.3
参考書3 ISBN 9784296117802
書名 企業価値経営
著者名 伊藤 邦雄 出版社 日経BP日本経済新聞出版 出版年 2023.4
参考書4 ISBN 9784492503294
書名 経営学のための統計学・データ分析
著者名 久保 克行 出版社 東洋経済新報社 出版年 2021
 
参考書補足  
秋葉[2022]はIFRSの全体像を把握する上で有益であるが,内容の理解には相当程度の財務会計の知識が必要となる。伊藤[2022,2023]は財務会計・財務諸表分析の基本論点を押さえる上で有益であろう。久保[2021]はデータ分析の方法論を非常にわかりやすく説明している。
 
履修条件および関連科目
(項目説明)この授業を履修するにあたってあらかじめ履修が必要な授業,並行して履修することによって学修効果を高める授業などを示しています。
 
履修条件:本講義は財務会計分野の発展科目であり,財務会計について基礎的な知識を有していることが望ましい。ただし,これは会計関連科目を履修していない学生の受講を妨げるものではなく,講義に参加し,真剣に勉強することで十分にキャッチアップ可能となる講義を心がける。
 
キーワード  
国際財務報告基準(IFRS),財務会計(Financial Accounting),会計基準(Accounting Standards),財務分析(Financial Analysis),実証分析(Archival Research)
 
備考  
例年データ分析(エクセルの操作)についてハードルを感じる学生も多く、可能な限り講義中に説明しますが、受験者自身によるトライ&エラーと分からないことにめげずに解決のために努力する姿勢(ググる、質問する)が最重要です。最初はみんな初心者です。分からないことを分からないままにしない姿勢を大事にしてください。
 
教員からの一言  
国際会計は日々変化し続けていますので,本講義を通じて一緒に学んでいきましょう。
 
ホームページ  
https://takasu-labo.net/
 
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